まだまだ自分自身が「未熟」・・ではあると自覚しているところであるが・・。
勝手な錯覚かもしれないが、「初心者」からようやく「中級者」の仲間入り(それでも入口)を果たしたタイミングはどこか?
・・と、自問自答してみると、《シャローランナーでヒラスズキを釣れるようになったこと》・・ではないだろうか?
それまでは、パイロットルアーと呼ばれる少しレンジの入るルアーや、1m前後レンジの入るルアーで分厚いサラシの中からヒラスズキを引き出すことしか出来なかった自分に、更なる進化と価値観の萌芽をもたらしたルアー・・。
それが、「シャローランナー」だと思う。
― シマノのシャローランナー《ゴリアテハイ125F》にてキャッチしたヒラスズキ ―
このレンジを知ったことで、「シャローランナー」と呼ばれる類のミノーと似たレンジを通せるような「シンペン」の釣りのイメージを掴み、その場その状況に応じてシンペンとシャローランナーを使い分けられるようになったし、「ウェイク系」と呼ばれるルアーの使い方をイメージ出来るようになってバリエーションが増えたのもそのタイミング・・。
正直・・「シャローランナー」と「ウェイク系」のどちらが最初に感覚を掴んだのか・・については、よく分からないところではあるのだが・・。
とにかく、僕が想像しているよりも《ヒラスズキは下からサラシを覗き込んだ状況の中を「視覚」や「波動」を通じてよく見えている・・》というカルチャーショック的な衝撃を受けたのが、この浅いレンジのルアー達である・・。
この「シャローランナー」と呼ばれるルアー・・。
調べてみると、だいたい10〜40cm(〜30cmと定義する記事も散見されるが)のレンジを潜行するミノー・・のことを指し示しているようだが、この手のタイプはどこのメーカーも必ず抑えているカテゴリーで、群雄割拠と言っても過言ではないだろう・・。
特に、メガバスから「カゲロウ」シリーズが誕生したことで、この群雄割拠時代に終わりが告げた。
・・と、俯瞰しているところであるが、このタイミングで・・カゲロウシリーズがシャローランナー界隈を席捲している渦中にブルーブルーから「アイザー125F」というシャローランナーが誕生したことはご存知のとおりかと思われる・・。
― アイザー125Fでキャッチした良型ヒラスズキ ―
実際に使い込んでみて・・。
荒磯での使用において、決して万能ではない・・と感じているものの、他のシャローランナーよりも際立って光っている部分もあるので・・。
今回は、この「アイザー125F」に焦点を当ててインプレしようと思う・・。
CONTENTS
「アイザー125F」のスペック
ここでは、アイザー125Fのスペックを自分がメインに使っているシャローランナーに含まれる「コモモSF-125」と「ゴリアテハイ125F」と比べながら比較してみようと思う・・。
本来なら、「カゲロウ」や「モニカ」、「ハーデス」といった《シルエットの似たルアー》と比べるべきなのだろうが・・、それらのルアーを現状使い込めていない・・ので、比較外れかもしれないが、リップ形状も泳ぎも性質も違うシャローランナーで比較することについては御容赦願う・・。
アイザー 125F | コモモ SF−125 | ゴリアテハイ 125F | |
---|---|---|---|
全長 mm | 125 | 125 | 125 |
重さ g | 18 | 17 | |
リング # | 3 | 3 | 3 |
フック # | 4 | 4 | 4 |
レンジ cm | 5〜50 | 20〜50 | |
重心 機構 | 磁石 | 磁石 |
だいたい同じスペックなので、対して比較にならないが、表の中に3箇所ほどチェックを入れてみた・・。
まずは「重さ」・・。
アイザー125Fは、コモモSF−125より「4g」、ゴリアテハイ125Fより「5g」ほど重たい設計となっている。
これだけウエイトに違いがあると、もちろん出番となる条件も違うのだが、この重さは、カゲロウ124Fと同じ設定となっており、アイザーがカゲロウを意識していることは間違い・・。
このウエイトの重さはコモモやゴリアテハイよりもキャスタビリティの向上に役立っており、この2つのシャローランナーよりも風に負けにくく飛ばしやすいと感じている。
続いて、「レンジ」・・。
これは、流れの強さや流し方、さらにメーカーのテストの方法によって表記が違うと思うが・・。
アイザーはだいたい表記どおりのレンジを引いており、コモモとゴリアテは少し違っているように思え、アイザーと同じレンジをコモモが引けて、そのレンジの1〜2枚下をゴリアテが引いていると思う・・。
体感であるが、水面が爆ぜたり、反転前後のヒラスズキの身体の一部が見えたり、錯覚かもしれないが水面がモワっとしているようなバイトを見ることも、見ないこともあるので、アイザー125Fは荒磯においては10〜20cm前後を引けている印象・・。
最後に、「重心機構」・・。
アイザーが「球」なのに対し、コモモ(3代目)とゴリアテハイは「磁石」となっており、この違いは後述で解説しようと思う。
他には、新品の状態でフィーモフック(MH)と肉厚スプリットリング(ブルーブルー)が標準搭載されているアイザーに対し、脆弱なスプリットリングを搭載しているコモモとゴリアテではヒラスズキにはパワー的に弱いので、即席で使えないというところだろうか・・。
アイザー125Fのココが凄い!
ここでは、アイザー125Fの良い部分をピックアップして書いてみようと思う・・。
もちろん、この後で弱い部分も書いているので、「アイザー買ってみるか・・」と感じている方は、そこまで読んでみて欲しい・・。
シャローランナー随一の飛距離!
自分勝手なイメージではあるが、浅いレンジを引けて、それなりにしっかりとアピールさせて泳がすにはウエイトを重く出来ない・・という制約があると思われる・・。
なので、パイロットルアーに比べて飛距離は落ちる・・。
そう感じている自分がいるのだが、実際にアイザーを使って思うのは、普通に(パイロットルアー並に)シャローランナーを投げている・・ということさえ忘れて飛ぶということ・・。
さらに、飛行姿勢も良くキャストを選ばずに球が後方へ移動するので精度の高いキャストが出来る恩恵は、強風でも投げやすい印象を受けた。
イレギュラーアクションで《巻き》で釣れる!
「磁石」に出来なくて「球」に出来ること・・と勝手に思っているところではあるが、「球」は磁石よりも重たく仕込めない分、安定さに欠ける・・。
その「不安定感」・・言い方は悪い表現に囚われがちだが、自分からすれば、その《不安定さ》がイレギュラーアクションとなり喰わせの間になっていると思われ、重宝している部分である・・。
実際に、ヒラスズキを釣って感じたことは、別にキワやシモリを通していないのに《タダ巻き》で釣れている・・とい状況もあり、これは「磁石」にはない反応だな・・と、改めて思う。
これは多分・・アイザーの《ふらつき》や《スライド》系の千鳥的イレギュラーアクションによるものだと思われる。
個体差?ボディは意外に頑丈!
大型ヒラスズキを抜き上げられるパワーを持つロッド・・《マーレフリップ》をメインに使うようになり、強めのドラグ設定で主導権を大型ヒラスズキに与えずに、よりパワープレイが可能となったものの・・。
フックの変形やルアー(ボディ)の破損が多くなった気がする・・。
フックだったら換装すれば良いのだが、破損や浸水は致命的・・。
そんな中・・アイザーで大型のヒラスズキを数匹キャッチしているが壊れる印象がなく、タフさを感じている。
アイザー125Fの弱点・・。
飛ぶシャローランナーでありながら、タダ巻きで魚を寄せることが可能なアイザー125F・・。
もちろん、弱点が存在する・・。
ここでは、その弱点について書いてみようと思う。
ダウンストリーム着水では重心が戻らない・・。
これは、「球」の重心機構の宿命・・というべきモノで、アイザーが特別・・ということではないのだが、《立ち位置から遠ざかるサラシ》や《離岸流と絡む払い出し》といった強烈なダウンストリームに直接入れてしまうと、巻きだけではもちろん・・トゥイッチを入れても水面を滑って重心が戻らないことが往々にしてある・・。
この条件であれば「磁石」を使えばクリアになるのだが、磁石は安定感が増すのでイレギュラーの発現が減る・・。
1投目のアプローチがどれだけ大切なのか・・磯ヒラ師であれば誰もが分かるところだと思うが、それならイレギュラーが出やすいルアーに頼るのは必然かと思われる・・。
しかし、球が戻らないと話にならないし、その失敗の1投は致命的だ。
だったら、どうやって活路を見出すのか・・。
一旦、レンジを入れてからダウンストリームに突入させたら良い・・。
つまり、ダウンの流れが効いているピンへの着水を避け、《流れを横切らす》ようなコースの選択・・。
それを見出す事ができれば、アイザー1本でなんでも出来るだろう・・。
欲しい時に、売ってない・・。
カゲロウもそうだが、未だに需要と供給のバランスが悪く、供給が追いついていないのがアイザー125F・・。
従って、ロストすれば次の供給まで待つか、内心・・苛立ちを抑えつつ転売ヤーから購入するか・・の手段になる。
もちろん、タックルベリーに行っても中古では置いていない・・。
良いルアー・・と思っているのに、すぐに補充出来ないことは非常に残念である。
そういう事態に陥る可能性も踏まえて、アイザーだけではなく他のシャローランナーも使い込む必要はあるだろう・・。
類似ルアー
シルエットが似ているルアーもあれば、レンジやアクションが似ているルアーもある・・。
手にとって、実際に泳がせて分かっていく、それらの違い・・。
全てのシャローランナーを知っている訳ではないが、自分が使ってみてアイザー125Fと似ているルアーを挙げてみようと思う・・。
コモモSF−125F(2代目)
現在・・コモモSF−125は「3代目」へと更新を果たし重心機構が「磁石」へと変わってしまったのだが、2代目はアイザーと同じく「球」の重心機構で同じレンジを通せるシャローランナーだ。
さらに、3代目と違ってイレギュラーが出るので、アイザーと同じく巻きで釣れる・・。
さらに、ダウンストリーム着水では重心が戻りにくい・・という嫌な共通点も一緒・・(苦笑)。
飛距離・キャスト精度がアイザーよりもやや劣るものの、アイザーが必要な時に売っていない昨今の状況を鑑みるに、同位互換程度に頭の片隅にでも憶えていて損はないだろう・・と言いたいところだが、こちらも廃盤・・。
タックルベリーで出逢える可能性が高いことだけは唯一の救いだろうか・・。
ハーデス127F
こちらは、「レンジバイブ」で有名なバスデイが創ったハーデス127Fというシャローランナー・・。
《どんなシチュエーションでも浅場を攻略出来るミノー》と謳われているとおり、荒磯の強風環境でもキャスタビリティが高く、その点に関してはアイザーを遥かに凌ぐ。
その理由は、4連の「球」による重心機構を搭載しているということ。
3連のアイザーよりもキャスト時に重心が後方に寄ることで向かい風でもブレずに飛んでいく驚きは、ミノー中心で磯ヒラを展開するアングラーにはたまらないだろう・・。
問題は、重心の戻し方とキャストで、3連のアイザーでもダウン着水で重心を戻すのにラグが生じるのに、4連のハーデスはさらにラグがあるように感じるし、4連の球を後方に移動させるキャスト・・つまり振り抜きには技が必要なので、ロッドやキャストを選ぶ必要があると感じる・・。
どちらにせよ、アイザーと同じくアップに強い印象・・。
アイザーでは届かない射程圏を攻略するには重宝するだろう・・。
フィードシャロー128F
こちらは、「ローリングベイト」・・通称「ロリベ」や「フィードポッパー」を擁するタックルハウスのシャローランナー。
レンジは《アイザーの1枚上》・・という印象で、どちかかというとウェイク系に近いアクションをするルアーであるが、アイザーと比べてダウン着水でも重心が戻りやすく、流れを正面から受けると破綻せずに潜ろうとするので、足元中心が戦場の場合はアイザーよりも使いやすい印象がある・・。
― フィドシャロー128Fでキャッチしたヒラスズキ ―
アイザーと明確に違うのは飛距離で、強風環境下では失速するので中距離射程の攻略では選ばない方が良いと思えるほど風に弱い・・。
あとは、アイザーもボディが頑丈だと思うがフィードシャローは更に頑丈で、キャストミスで磯にぶち当てても壊れない屈強さがある。
さらに、純正フックは5番とアイザーより1つ小さい番手ではあるが、アイザーと同じく4番も当然搭載出来るし、メーカーにもよるがギリギリ干渉せずに3番を背負えるところは、アイザーでは出来ないフックカスタムなので近距離戦限定で大型ヒラスズキを想定してアプローチする場合にはアイザーよりも重宝すると思える・・。
総評
今回のアイザー125Fのインプレはどうだっただろうか・・。
それなりに、多くのシャローランナーを使ってみたと感じているところではあるが、ヒラスズキ5年目・・2025年現在でも1軍ルアーで活躍しているルアーであることに間違いない・・。
そんな、アイザー125Fをまとめてみると、こんな感じに落ち着くだろうか・・。
・ 良いところ
★ シャローランナーの中では、かなり飛ぶ!
★ タダ巻きのイレギュラーアクションで喰わせられる!
★ ボディは強い方!
・ うーん・・なところ
○ ダウン着水では重心が戻りにくい・・。
○ ダウンストリーム着水では重心が戻らない・・。
○ 欲しい時に売っていない・・。
アイザー125Fの総合評価はコチラ・・。
この総合評価をみて、「おいおいダウンクロスの星・・多くねぇか?」と思われるかもしれないが、これはリトリーブの話・・。
ダウンに着水させてしまうとレンジが入りにくいが、ダウンに入っている状況で重心が戻ってレンジが入ってさえいれば、タダ巻きで勝手にイレギュラーが入ってヒラスズキを寄せてくれる気がする・・。
そんな、ブルーブルーから創られたアイザー125F・・。
一言でまとめてみると・・。
流れを学べるシャローランナー・・。
そう思う・・。
それでは、また今度・・。