【ヒラスズキルアー考察⑰】往年の名ルアー、ダイワ《ショアラインシャイナーR50 LD F-G》をインプレする!

もともと、僕が「磯ヒラ師」として福岡の磯を主戦場に熾烈な闘いを繰り広げる前は、博多湾の湾奥のマイナーでマイノリティなフィールドを主戦場にしている「シーバサー」だったので・・。

その応用・・という形で、マルスズキで使っているルアーをヒラスズキ釣りへコンバートすること・・は今までたくさん、それなりに実践してきていて・・。

下の写真は、そんなシーバス釣りで使い慣れていた、《ソバット80》にてキャッチしたヒラスズキになるのだが・・。

ソバット80

― コンバートしたルアー・・《ソバット80》でキャッチしたヒラスズキ ―

最近・・そんなコンバートルアー以外にも、新旧問わず、今まで使わなかった「古いルアー」や「興味のなかった新しいルアー」をヒラスズキ釣りでは使うように心掛けている。

その理由としては、《偏見を捨てることでアプローチの幅を広める為・・》ではあるんだけど、その経験を通じて・・決して最新のルアーが全てのスペックにおいて古いルアーの性能を上回ってはいないことが分かって来た・・。

もちろん、「飛距離」や「使いやすさ」といった《オートマチック感》にあっては、確実に技術の進化と企業努力の研鑽によって最新ルアーの方が圧倒的に優れている・・と言っても過言ではないだろう。

だがしかし・・。

一概に最新のルアーの方が古いルアーよりも釣れるのか・・?と言われると、そうではないのが事実である。

温故知新・・。

改善と改悪・・。

販売戦略と風評・・。

そんな現在・・あまりにも新旧含めたルアーが多すぎて、各メーカーの表現も各々のスタイルで構築されており、何を選べば最適解なルアーを得られるのか、実際に使ってみないと分からないことが往々にしてある時代ではあるのだが・・。

それでも、過去に一世を風靡したルアーを使い、それを知ることは、自分の成長において決して悪循環ではないと言えよう。

そんな、2025年の春・・。

シーズン的にはマジで絶不調で、ランカーヒラスズキをキャッチしたとか・・、ツ抜けを達成したとか・・、そんな何かしらのメモリアル的な出来事もなく、不完全燃焼のまま春が今・・まさに終わろうとしているのであるが・・。

この異常に異様な難易度が高い絶望の春を燃え尽きることなく、辛うじてギリギリ切り抜けられた状況としては、そんな古いルアーに救われたからだと言えよう・・。

そんな往年のルアーの中で、ここ最近・・マジで凄い・・と感じているのが、「ショアラインシャイナー(※以下、SLSと省略)R50」と呼ばれる、昔・・ダイワから発売されていたルアーで・・。

対馬遠征にてS兄貴が使っていたことでインスパイアされて使い始めたルアーで、今回インプレするルアーになるんだけど・・。

― R50でキャッチしたヒラスズキ ―

それなりに使い込んでみて、それなりに言語化出来そうな材料が揃ってきたので、久しぶりに《ルアーインプレ》回・・・として、いろいろと書いてみようと思う・・。

ダイワ《ショアラインシャイナーR50 LD F-G》とは・・。

R50とは、今から20年〜30年以上も前に発売されたルアーになる。

このルアーは決して、ヒラスズキ用・・という訳ではなく、マルスズキ用に開発されたルアーで、マリアさんの《ザ・ファースト》くらい古いシーバスルアーになり、僕が普段使っている「裂波」「コモモ(初代or2代目)なんかよりも、さらに古いルアーとなるので、僕のルアーボックスの中では一番古いルアーとなる。

その時代・・僕はソルトルアーの世界に入っていなかったので、当時の印象については全く持って知らないのだが・・。

廃盤となった現在でも語り継がれるルアーというのは稀有な存在だと思うので、当時の状況としてはブローウィンやカゲロウに似た人気のあったルアーじゃないかと想像している・・。

R50

― 酷使中のR50(LD) ―

ちなみに、僕の使っているR50は、R50と表記の後に「LD」と書いてある・・。

これは、LD(ロング・ディスタンス)モデル・・つまり、初代R50の次の世代のモデル、若しくは派生モデルになり、重心移動システムの中身がタングステンに変更され1gほど重くなったモデルになる。

続いて、LDの後の《F-G》と表記されているのだが、これは勝手な想像ではあるが、シンキングのR40がS-Gなので、F-Gとは《フローティング》の意味なのかと推察している。

R50のスペック

簡単にはなるが、R50 LD F-Gのスペックはコチラ・・。

全長   :120㎜

重さ   :15.5g

リング  :#3(おそらく)

フック  :#4×2

レンジ  :50〜120㎝

重心機構 :ワイヤー

アクション:ウォブンロール

重心機構が「ワイヤーオシレート」と呼ばれる、穴の空いたタングステン球にワイヤーを通し、球がワイヤー上を移動するようにしたダイワ独自の重心移動システムで、R50はそのワイヤーオシレート機構がサイレント仕様・・「サイレントワイヤーオシレート」搭載したルアーになる。

ウエイトはデフォルトのR50より1gほど重くなっており、これが鉛からタングステンに変更されたことによるウエイトアップになるのだが、これにより飛距離が向上されたようだが、初代R50を使ったことがないので自分では比較は出来ないものの、裂波くらい飛ぶ。

レンジに関しては、50〜150と表記しているが、こちらも裂波と同じくらいのようで、磯においては立ち位置の高さ次第ではあるが、30〜70くらいのレンジを維持しているように思う。

アクションは、典型的なウォブンロール。

このアクションの何が良いのか・・、どうして伝説級と言われるのか・・この段階では言い表すことが難しいのだが、このアクションにサイレントオシレート仕様により音が出にくい設定になっているのが、スレた魚を引き出す要因になっている気がする。

良いところ!

ウエイト位置によっては、可変アクション!

ウエイトが戻っていれば、キレイで普遍的なウォブンロールアクションなのだが、ウエイト位置が完全に戻っていない状態だとヨタヨタとスラローム系シンペンに似たアクションになる。

R50が釣れる・・と言われる所以はココじゃないか?と思われ、普通にスラローム系のシンペン投げとけば安牌な気もするのだが、やや後方重心でお尻下がりなのがシンペンである・・。

その反面、R50はミノーで前面で水を受けてアクション・ステイするので水平姿勢を維持しやすく、飛距離はシンペンに負けるが近距離戦のスラロームにはR50の方が浮遊感が際立ち、食わせの間を演出しやすいのではないかと、個人的には感じている。

なので、本来・・重心機構がオートで戻らないタイプの「球」系のミノーに関しては、ある程度の巻きやトゥイッチを入れて重心を戻してレンジを入れてアクションさせる必要があるのだが、R50の場合は重心を戻さないリトリーブ速度域でリトリーブしたり、敢えてダウンに入れて重心を戻さないようにしてアプローチすることも重要なのかもしれない。

泳がない・・それが良い!

それなりに大きくも小さくもないリップが付いているので、キビキビとブリブリ動くイメージがあるが、感度的にはサイレントアサシンと比べるとかなり大人しいウォブンロールとなっている。

Screenshot

それに加えて、ノンラトル且つサイレント仕様となっているので、ミノーとしてはアピール力こそ少ないが、スレに強いミノーではないかと思われる。

フックカスタム◎

R50の全長は120㎜・・。

このサイズ、ほとんどのミノーが3フックを採用しているのに対し、R50は2フックシステムとなっている。

つまり、3フックで120㎜だと#4くらいのフックサイズがクリアランス的に限界になるのだが、R50に関しては無限大であると考えて良い。

あくまでも、自分調べではあるが、#4のリングに#3のHのフックを背負わせるとサスペンド〜スローシンキング寄りのウエイト設定となり、アクションはデフォルトよりも重くなるが僕はその設定でヒラスズキを狙っている。

― 大型ヒラスズキ相手でも、フックが強靭ならパワーファイトが可能 ―

場所や立ち位置によっては、抜き上げ必須な場所なんかあるので、その場合フックの番手を上げられるルアーは重宝する。

なかなかリップが壊れない

古いルアーなので、壊れやすいのか?

そう感じていたのだが、全くそんなことはなく、この春・・かなり酷使しているのだが、リップ部もボディも壊れることなく使えているので、過去も現在もルアーの剛性は、そこまで進化していないのかもしれない。

イマイチなところ

廃盤ルアー

何十年前のルアーになるので、新品の状態で購入することは不可能に近いと思われる。

なので、R50を見つけるには中古のショップで見つけるしかないのだが、塗装されている以上・・ボディのダメージが見えにくいので、剛性においては当たり外れがあるのかもしれない。

ジャーキング適正✕

ここ最近、流行しているジャーキング・・。

もちろん、ジャーキングが流行するよりも前の前の前のルアーなので、ジャーキング適正はないし、トゥイッチも連続でやると水面から飛び出す印象・・。

なので、ラインコントロールや巻きのアプローチで食わすルアーになる。

類似ルアー

昔のルアーなので、類似ルアーがたくさんある・・ように思うかもしれないが、僕のR50の不安定メソッド(ワイヤーオシレート機構の脆弱性を利用した使い方)だと、見つからない・・。

なので、今回は割愛させてもらおうと思う。

総評

今回のR50のインプレッションはいかがだっただろうか・・。

たくさんのルアーを使っているが、ルアーボックスに必ず入れておこう・・と思うルアーは、そこまでないのだが・・。

R50にあっては、必ずルアーボックスに入れておかないと不安になるルアーであることは間違いない。

そんな、R50LD F-Gの総合評価はコチラ・・。

飛距離
 (3)
飛行姿勢(精度)
 (4)
デッドスロー(スラローム)
 (4.5)
ノーマル(ウォブンロール)
 (4)
ファスト(ウォブンロール)
 (2)
立ち位置適性(低い足場)
 (4)
立ち位置適性(高い足場)
 (2)
ドリフト適性(アップクロス)
 (4)
ドリフト適性(ダウンクロス)
 (4.5)
パイロットルアー適性
 (3)
総合磯ヒラ適性
 (4)

こんな感じだろうか・・。

決して、パイロットルアーになるほどの総合力を持っているルアーではなく、スレた時や活性が低い時に使うような局地的ルアーにはなってしまうのだが、R50のおかげでボウズから逃れられた経験が2度も3度もあるので、伝説のルアーは間違いない・・ということが言えよう。

そんな、ショアラインシャイナーR50 LD F-G・・。

一言でまとめると、

最先端と対をなす不安定感抜群のミノー・・。

だろうか・・。

それでは、また今度。

R50とは

S兄貴に出逢わなければ、間違いなく見過ごしていたルアー・・。

それが、R50というダイワの30年以上前のミノー・・。

自分調べであり、前後違いor系譜に間違いがあるかもしれないが、まず「①SLS R50」というミノーが生まれ、続いてブラッシュアップされたモノが「②SLS R50 LD F-G」・・今、自分が使っているルアーで、そこから「③SLS R120」→「④SLS バーティス125F」→⑤SLSZ バーティスRへと進化を果たしており、今回僕がインプレするSLS R50 LD F-Gは今から20年以上も前のルアーである。

※SLS:ショアラインシャイナーの略

※SLSZ:ショアラインシャイナーZの略

興味を持ったキッカケは、