ヒラスズキが釣りたい・・。
というのは烏滸がましいので、せめてサラシだけでも目の前で拝ませて欲しい・・。
7月・8月と全く時化なくなった福岡・・。
その願いが高望みがゆえに叶えられないのなら、せめてサラシだけでも・・と願望が矮小に歪曲に捻じ曲がっていく・・。
釣果を出さなければならない立場になって、改めて思う福岡磯ヒラの残酷さ・・。
きっと、オールシーズン時化てくれる地域は地域で、それに伴う地獄も弊害もあるのだろうが、こちとらそんな立ち位置にも入らせてもらえない蚊帳の外・・。
だったら行くしかないよな・・。
対馬へ。
我が友のもとへ・・。
CONTENTS
DAY1:プロローグ
我が友(友人K)から「北で合流しよう」という連絡を貰い、今回は厳原ではなく比田勝行きに乗り込む。
博多港から対馬(比田勝)を往来している「うみてらし」にはデスクスペースが設けられていたので、久しぶりのサラシゲームを堪能出来る予測的興奮を削ぎ落とし、且つ睡魔を呼び込む為にも、パソコンを広げて絶対に書き上げなければならない文章を綴る・・。

― カジさんの記事を作成中。悩み過ぎて、ここから1ヶ月掛かった ―
3泊の遠征予定が2泊になってしまったのは、家族ぐるみで親交のあるMニキの弟(高校時代の同級生にして人生の盟友)主催のBBQに誘われた我が嫁が、「旦那」ではなく「肉」を選んだせいだ。
この遠征のために、どれだけの縛りを賭して挑でいるのか我が嫁には分かるまい・・。
そして、どう足掻いても我が嫁に勝てる勝ち筋を見出だせない僕は、言われるがままに「はい」の二文字でそれを了承し、2泊という縮小プランで対馬へ挑むこととなった。
この責任は、そんな弟を《こんな弟》として育てあげた「兄」であるMニキの責任だと思うが、こういう愚痴は何処かのタイミングで根を張って大きく芽吹いていくので、この辺で割愛しようと思う。
兎にも角にも、2泊になってしまったので悠長なことを考えている場合ではなくなった訳だ。
ただ、焦ってはいけないことは事実・・。
決して遠征だから釣れる・・という訳ではないのがヒラスズキというもの。
いや、どの魚も同じか・・。
確かに福岡よりも魚影は濃いだろうが、ヒラスズキはその磯へ通い込み続ける人間の方が圧倒的に強いし、あらゆる経験を駆使して立ち回れる人の方が強い。
そういう釣りなのだ。
だから、「おめぇーには、まだ早い。もっとレベルアップして挑んで来い・・」という感じで、毎回ほくそ笑んでもツンデレもしてくれない対馬が最高に好きで好きでたまらない。
多分、僕はヒラスズキを掛けた後のことよりも、ヒラスズキを掛ける前が好きなのだろう。
魚を釣らせようとガイド役に徹してくれる友人Kには申し訳ないけれど、対馬という特別な思い入れのある島には、ずっと・・これからも・・未来永劫ほくそ笑んでくれないままの関係であって欲しいくらいだ。
結局、記事は書き上がらないまま、うみてらしは比田勝へ到着・・。

― 未明の滞在対応に比田勝ターミナル内には仮設の仮眠ブースがあった ―
今年は青物に傾倒していて本来のモンスターフィッシング路線に戻った友人Kとさっそく合流し、3度目の対馬遠征が幕を開ける・・。
DAY1:磯ヒラ
最初の磯は、僕が初めて対馬へ渡った第一次対馬遠征の際にガボッツ150で、「おめぇ・・それ丸呑み出来るんか?」と疑問に思えるようなサイズのソイが水面爆発で反応してくれた、対馬の中でも慈悲深き磯・・。

陽が登り、明るくなり始めるまで時間があったので、車で仮眠することになったのだが、気持ちが爆上がりしてどうせ眠れないので、外でゆっくりと対馬の空気を吸いながらストレッチをしていたら、友人Kも外に出てきた・・。

ヘッドライト持ってる?

持って来てるよー!

ちょっと早いけど行くか・・。
僕の気持ちを察してか、まだかなりローライトではあるが入磯することなった。
友人Kは潮通しが良く且つ風表を避けた場所にて青物を狙うとのことだったので、風表のサラシが広がる面は全て僕が撃てるようだ・・。
2年前に入った磯ということもあり、大まかな雰囲気の記憶はあるだけで、ほぼ初見のようなもの・・。
過去の記憶を振り絞ることをやめて、目の前に広がるサラシの下に潜むヒラスズキを狙うことに集中する。
初手は2026年の秋頃に発売されるLEGAREのシャローランナー「VADUM125F」のテスト。
せっかくの遠征なので、ジャンル縛りも封印していたルアーの開封も施して総戦力で対馬に全力で挑むべきなのだろうが、メーカー側の人間の端くれとなった今・・そうはいかないので、荒磯でのテストを全く出来ていないこともあって、存分にVADUM125Fを投げ倒す。
反応なし・・。
早々に次の磯へ・・。
この場所も第一次対馬遠征で訪れた場所・・。
ここでは、ロッドをヒラロッドに持ち替えた友人Kが後攻にも関わらず僕が見落としたor通した場所にてキャッチ・・。
これ・・正直、悔しい。

― 爆風の風の中で待望の1尾 ―
僕はまだ、彼に及ばない事実が、彼に少しでも近づいたつもりでいた認識のツメの甘さが感情を強く揺さぶる。
いや、それは後々に考えれば良い。
今は、もっと目の前のことに集中するべきだ。
強がらず、焦らず、自分らしく・・。
ちなみに、ヒットルアーはジョルティ・・。
ワームの封印の解除を忘れたまま対馬へ来てしまったこともあって、悔やまれる・・。
いや・・僕はワームを使っていただろうか・・。
その後は反応せず、風表を避けた3箇所目へ・・。
風があまりなくて有り難いものの、若干の微サラシ、そして初場所・・。
高い立ち位置でのアプローチ。
しばらく、波の流れを観察しながら、見えない地形をイメージすることに徹し、届かせたい場所・・流したいコースなんかを幾つか考える。
REGALIA100を選んだ、その第1投・・がドンピシャの場所に決まる・・。

ビッタビタやん!

奇跡だねw
そのままアップに流していたら水面爆発でヒット・・。
どうした対馬よ?
もっと、苦労させてくれよ・・。
そんな余裕があったからだろうか・・。
対馬の神様はやはり僕にほくそ笑むことはなかった。
1尾を取る大切さに欠けたパワープレーをしてしまったことが最大の原因だろうか・・。
ランディング直前に強引に抜き上げようとした刹那・・フックアウトしてしまい、オートリース。
キャッチは出来なかったものの、ようやく反応を得ることに成功・・。
その後は、コモモⅡ(リペアしてて亀裂を補修していた)を岩にぶつけて破壊させてしてしまったこともあって、リッパー120をチョイスしてランガンしていると、足元のちょっとしたシモリの奥で水面爆発で出てくれるも一瞬でフックアウト・・。
この場所でのアプローチが唯一、対馬の神様がほくそ笑みかけた瞬間だったのかもしれない。
遅い昼食を挟み4箇所目・・。
ここでは、そこまでサラシが広がらず、睡眠不足が今頃にやってきたこともあって小休止していたところ、ジグを投げていた友人Kがハガツオをキャッチ・・。

― 休憩してちょこっと出て来てサクッとハガツオをキャッチしやがった友人K ―
ここで、精神崩壊。この日のデイが終了した。
DAY1:ゲストハウス&カフェ やまぼうし
普段の遠征では、テント泊や車中泊・・時々テントすら持ち込まずに寝袋に包まりフナムシに噛まれ続けた結果、眠れぬ夜を過ごすのが僕のスタイルなのだが・・。
今回は友人Kが「絶対体力の回復も早いし、メンタルの切替も含めてちゃんとした場所に泊まった方が良い!」・・という強い推しもあり、「やまぼうし」という名のゲストハウスに宿泊することとなった。

― ゲストハウス&カフェ やまぼうし ―
どちらかというと、僕はゲストハウスには抵抗がある・・。
なぜなら、僕が「釣り人」であるからだ。
僕ら遠征組は、トラベラーではあるけれど、一般的なトラベラーとは異なり、睡眠を度外視してでも真理の探求を優先する。
どうしても、共同生活に配慮する・・というゲストハウスのルールを守りたくとも守れない・・。
だから、抵抗がある。
具体的に言うと、《他の利用者が睡眠中の朝マズメ帯やミッドナイト帯の探求に行きたい》、《探求のための荷物が多い》、《探求により汚れる》、《ずぶ濡れで探求することもある》・・そういう部分だろうか。
そういう配慮したくとも配慮出来ない部分がどうしてもあって、僕はゲストハウスに抵抗があるのだが、さすが釣り人のディズニーランド「対馬」のゲストハウス・・というところだろうか・・、いや、オーナー夫妻の人間性になるのだろう・・、配慮して頂ければOKとのこと・・。
・ 就寝時間帯での外出について⇒電子錠(ボタンを押さないと閉まらないタイプ)なのでOK!
配慮:利用者さんを「物音」で起こさないように静かにする。
:事前にオーナーへ夜間外出する旨を相談し、外出する為の注意点や操作方法を確認しておく。
例 :事前に道具類の準備を済ませておき、就寝時間帯すぐに玄関前に置いておく。
:他の宿泊者さんにも、迷惑を掛けるかもしれないことを伝えておく。
実際に2連泊させて頂いたのだが、最高に居心地が良かった・・。
僕の言葉で間延びさせてしまうと推しの要点が薄くなるので、箇条書きでまとめてみた。
・ オーナー夫妻の人柄が素敵過ぎる。(きっと、2人の前世は神様の類だと思う。)
・ ドミトリースペースも含め、とにかく清潔で綺麗な空間で満たされている。
・ 寝具の匂いが完璧。良い香りで包まれて眠れる。
・ アメニティが充実している。
・ 人に「良かった!」とオススメ出来るゲストハウス。
・ 水上ロッジがある。
・ 素敵過ぎるのに、価格がリーズナブル。
ゲストハウスに慣れていない自分がどうこう言える側ではないのだが、友人Kの言うように体力もテント泊よりもリフレッシュさせてもらえたし、想定以上の快適さに驚いた。

― 最高の2日間をありがとうございました ―
釣り人のブログなので、釣り人しか見ないだろうけど、釣り人にもいろんな釣り人がいるので、ちゃんと書いておくことにする。
・ 釣り人OKのゲストハウスだからって、我が物顔で利用しないように!
・ 人にリスペクトを・・そして配慮を・・。
オーナー夫妻がいくら前世が神様だったとしても、リスペクトのない釣り人には絶対に利用して欲しくない。
ゲストハウス内には生ビールも美味しいコーヒーも飲めるカフェがあり、地元の人達も足を運ぶような神聖な場所だから、釣り人の印象を下げるようなことだけはしないで欲しい。
今度、対馬に行くときはスーパーで缶ビールなんて買わずに絶対に此処で飲む。
そう決めた。
DAY1:ナイトゲーム
せっかくやまぼうしさんに宿泊したので、ゲスト達と交流を深めたいところなのだが、真理の探求で対馬に来ているので探求を優先・・。
ここでは、常夜灯もあり水質もクリアなこともあって、プロトルアーのテストを重点的にやることにした。
飛距離は?アクションは?立ち上がりは?レンジは?認知されていないギミックはあるのか?等々・・。
激流となり、さらにテスト環境が揃ったこともあって熱中し過ぎて昨日に続いて睡眠不足となってしまったが、やまぼうしさんに戻って即就寝・・。

― ゲストハウス「やまぼうし」の就寝スペース ―
友人Kよ・・。
此処に泊まれて良かったよ。
DAY2:磯ヒラ⇒やまぼうし
この日は、Mニキが来島・・。
合流して車内で雑談でワイワイ喋り散らかしながら、3人での探求がスタート。
最初のポイントでは、波こそ良いのに反応を出せず、おそらく我々の技量不足になるのだが、2箇所目はニキだけが反応を取ることに成功し、2ラインブレイク・・。
対馬の神様よ・・。
ほくそ笑んでくれないのは僕だけで良いのだが・・。

― スーパーニキ ―
3箇所目は、前回の遠征でSニキとMニキと僕の3人で初めてエントリーした思い入れのあるポイントに入ってみるも反応を出せず終了・・。
あと1箇所行けるかどうか・・というタイミングで土砂降りの雨が降り、昼飯の時に食べた唐揚げ弁当が美味しかったので、夕ご飯もそれを買って食べることに決め、再びやまぼうしさんへチェックイン・・。
この日は、ずっと雨の予報だったのでナイトゲームは中止に決め、時を忘れるような空間で至福の時間を過ごすことにした。
我々・・ビールは購入していたので、シャワーを浴び終わった後、コーヒーでまったり・・。

― やまぼうしさんはカフェもあります ―
その後、ビールタイムとなって、本物のトラベラーの東京から対馬へ来島された青年(釣りは趣味ではないが、旅が趣味)とお互いに趣味と人生について語り合い、地元の方とも語り合い、今までの遠征とは違った時間の使い方が出来て、楽しむことが出来た。
Mニキもご満悦・・。
アキラメンナ氏に先を越され、その爪痕をちゃんと残して帰っていることも面白かったし・・。

― 未だ見ぬ友の爪痕 ―
大いに語らいあった我々は、明日の最終決戦に挑むべく、準備を先に済ませて道具を玄関前に置いた後、しっかりと身体を休ませることにした。
DAY3:磯ヒラ
泣いても笑っても、最終日・・。
我々は、小雨降る状況で爆風の磯でヒラスズキを狙う・・。
昨夜・・寝る前に「どうやったら、思い残すことはないくらいに(明日のラストを)探求を出来るだろうか・・」について考えながら寝落ちしてしまって、結局・・答えが出せなかったんだけど、磯に立ってみて、やっぱりLEGAREルアーで縛りたいという気持ちが芽生えた。
最初はVADUM125Fで長く伸びた磯際をなぞってみたり、LEGALIA100で流してみたり、ちょっとレンジが入るけどUNIFORCE100Fをサラシの中に入れて緩急をつけてみたり、いろいろと試してみたがタイムアップ・・。
僕の3度目の対馬遠征が終了した。
釣らせてあげられず申し訳なさそうにしている友人Kに見送られながら、船に乗り込む。
友人Kよ、そうではないのだよ・・と言いたい。
確実に釣りたいのなら、ハイシーズンに来ていると思う。
どうしてこの時期に来たのかは、釣れるか釣れないか分からないから・・、それを試しに来たのだよ・・。
だから、そんな顔はしないでくれ・・。
言い訳として捉えられても仕方がないけど、僕はそんな分からないことが楽しい・・。
だから、申し訳ない・・とか残念だったとか、思わないでくれ・・。
むしろ、君に会えて君に刺激を貰えて良かったよ。
10月からFIELD MONITORからFIELD STAFFとして活動することが決まったのは、間違いなく君のおかげだ。
君に連れられて壱岐に行ったことがキッカケで、ヒラスズキの楽しみを知って今がある。
その時・・君からもらったコロナウイルスは余計だったけど、今となっては笑いの種だ。
本当は、もっと・・魚を釣らないとダメなんだろうけど・・、答え(釣果)が重要ではなくて、問い続けることに意味があると思いたい・・。

― 帰り際のニキ ―
11月と12月はフィールドワークに徹する案件が発生したから、次の対馬遠征は来年になると思うけど、また積もり積もった話でもしよう・・。
それでは、また今度・・。